相続が争続(争族)にだけはしたくない!そのための対策とポイント

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相続が争続(争族)とはなにか?

相続が争続(争族)とは、特定の個人が死亡することにより、発生する親族間の争いのことを指します。もともと、「相続」とは特定の個人の死亡によって開始します(民法882条)。相続とはある意味自然現象のように発生しますが、親族間の争いも同様に自然と発生してしまいます。

争続(争族)はお金持ちだけの問題か_身近にあるリスク
争続(争族)について、一般の方の知識としてはお金持ちだけの問題として認識されている場合が多いです。それというのも、やはりといいますか、人はメディアに誘導されやすいものですので、テレビのニュースやドラマまたは、週刊誌などのメディアで提供される情報からこのようにイメージする場合が多いです。
ところが争続(争族)とは、つまり言い換えると、親族間の争いの延長になるので、その火種はあらゆる家族・家庭にある可能性があります。争続(争族)とは、非常に心理的な問題であって、多くは理屈抜きの問題であるということに起因します。

争続(争族)の本質

争続(争族)の本質とは、2つの実質に分類できます。
まず1つ目は被相続人がその相続財産についてどのように残すか関心が浅いことです。関心が浅いというのは、考えていないわけではないが、その内容についてじっくり向き合う方は少ないということです。もう1つは、親族間に争いの火種として感情的なしこりがあることです。子供から成人にいたるまでの間に生れた、兄弟間の格差や、結婚後に生じたなにかしらの感情的なしこりがこれにあたります。

争続(争族)になる事例_相続に関心が浅い場合

争続(争族)になる事例として、次のような一般的なサラリーマン家庭について例を挙げます。この事例は、被相続人は自分に相続が発生した場合に相続税が課税されるかどうかを確認する程度には関心があります。しかし、この相続税が課税されるかどうかを確認後、自分は対象ではないだろうと考え、特に遺言書を作成していませんでした。
この事例の人物の持つ資産について分解すると、自宅で2500万円、現金1000万円、株式500万円と、総額4000万円となります。
ところが、いざ相続となったとき、この人物の子である兄弟間で争いが生じ、話し合いなりません。問題の発端は、相続人のうち弟が自分の法定相続分として1000万円よこせと主張してきたためです。今回のケースでは、子供は2人ですので、法定相続分は子供1人につき1/4の権利があります。そうすると、弟のいう1000万円欲しいとの主張は一応の根拠のあることといえます。
初めに、関心が浅いといいましたが、つまりは自分が死亡した後の具体的なイメージをしづらいということです。ここであげた例のように、相続に関しては一定の関心があるが、具体的には考えていないということになります。
また、相続についてイメージしづらいのは、多くの一般の方の関心は、「相続税がかかるかどうか」のようにイメージの簡単なお金に対し、関心のほとんどを奪われるためです。

争続(争族)になる事例_親族間に感情的なしこりがある場合

親族間に感情的なしこりがある場合とは、子供時代に他の兄弟に比べて不遇だったとか、他の兄弟は成功しているのに自分が成功していないとか、子供が何人もいて教育資金の必要だとかなどが挙げられます。つまり全く今回の相続に関係のないところで、それぞれがいがみ合い話し合いに応じないということが生じます。
相続が発生すると、最終的にはお金の話に終着(または執着)します。そうはいっても、多くの方は話し合いに応じ、なるべくスムーズに遺産分割に協力しようとします。ところが一部にはこうした話し合いに応じたくないとき人物がでてくる場合があります。
こうなると、遺産分割協議は相続人の多数決による合意ではなく、話し合いによる完全一致でないと成立しません。また、一部の親族同士の話し合いのみでは、遺産分割は成立しません。
相続が発生すると、被相続人の手前表面化しづらかった様々な感情が、この人物の死亡をきっかけに一気に吹き出し、表面化します。こうしたことにより、それまでの感情的なしこりが原因となって、話し合いが進まなくなるのです。

その他_相続を難しくする理由

これまで、2つの主要な争続(争族)の本質について説明してきました。
ここでは、これ以外の相続に関して難しくしている原因について簡単に触れます。まずは、意思能力の欠如という問題です。こういわれると、「??」と頭に疑問符が浮かぶ方が多いでしょう。簡単にいうと、高齢になって判断力が低下し、あるいは欠如している場合、もはやその人物は、自分自身のことすら分からなくなり、外部にその意志(こうして欲しい、ああして欲しい)等を伝えることができなくなっている状態の問題です。
具体的には老人性痴ほう症等が進行し、介護施設に入所を余儀なくされる程度に、本人の意思が失われているような場合です。
この問題のポイントは、このような状態になると、法律上もはやこの人物自身はなにもできないということです。つまり、自分でアパートの賃貸借契約をしたり、お金を借りたり、増してや、遺産分割協議をすることができなくなります。また当然に遺言書の作成ができなくなります。

また別の原因は行方不明の相続人がいる場合です。
少しレアなケースと思われるかもしれませんが、相続が複数人にまたがる場合、例えば単純に海外に移住してしまい(ブラジルなど)連絡がつかない場合や、本当に失踪してしまう場合があります。こうなると、不在者財産管理人の申立てから手続きを行わなければならず、また仮に、この行方不明者につき、失踪宣告をうけると、新たに相続が発生し問題が複雑化します。
結論として、争続(争族)とは、親族間の内部的状況に限定されず、外部的状況によっても生じる可能性があることをご承知下さい。

争続(争族)にさせないための対策

争続(争族)にさせないための対策とは、「遺言書の活用、信託の活用、共有にしない、話し合いに応じる」の4つの主要なポイントが考えられます。以下簡単に説明していきます。

遺言書を作成する

争続(争族)が発生する多くの事案において、遺言書があれば問題が発生しなかったという場合は非常におおいです。例えば、相続人の中で行方不明のものがいても、遺言書でそのものを除外した内容にして作成しておけば、将来の問題の回避となります。また、夫婦の間に子がいない場合、両親が死亡していると、兄弟姉妹が相続人となります。こうした場合、相続人の配偶者は、この死亡した被相続人の兄弟姉妹と話し合いをせざるを得ず、非常に困難です。こうした場合にも、遺言書を作成しておけば、問題の回避につながります。
遺言書の形式は3つあります。具体的には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言となります。一般的には、自筆証書遺言と公正証書遺言がよく利用されています。自筆証書遺言とは、完全に自筆で(ワープロは不可)全文を記載し、日付の特定性と、記名と押印が必要です。この押印については制限がないので、実印でなくても大丈夫です。公正証書遺言は遺言書記載文案を事前に公証人役場におくり、公証人に遺言書内容を、確認してもらい作成、その後原本を公証人が保管します。公正証書遺言の正本は遺言者に交付され、遺言者が保管します。公正証書遺言の利点は、公的にその内容について確認されているので、検認の必要がない点と、偽造に危険が低いという点です。ただし、この公正証書遺言もときおり、ミスがあり、遺言書に記載されている物件の表示が違うとか、相続人の氏名が間違っていたりしますので、絶対ではありません。

信託の活用

信託について近年さまざまな書籍がでていますが、日本ではまだまだ馴染みのない制度といえます。信託制度の要所は、個人の財産の一部を、個人の私有財産から切り離し、「誰の物でもない財産」として、受益者のために管理するところです。またその反射的効果により倒産隔離機能を有します。信託制度は、任意後見制度や法定後見制度を補完する制度としての機能を期待されています。その大きなメリットは、信託契約の委託者(本人)が意思能力を喪失しても、受託者が信託契約に基づき、受託者の信託財産を、受益者のために管理することができるという点です。

共有にしない、話し合いに応じる

一般に共有とは、所有の形態としてはあまり好ましい状態とは想定されていません。その理由は、取引を行ったり、担保権の設定を行ったりなどの際に、その権利関係が複雑となり、当事者間での混乱が生じるためです。
特に節税等を考慮してあえてその状態を望むなら別として、基本的には1人の人物が1つの不動産を所有するようにするのが好ましいでしょう。事例としては、畑を総勢16人で昭和初期の時代から共有して、それぞれ相続が発生しているので、相続人が100人を超えてしまい、事実上、遺産分割が不可能となるような事案もあります。
また、「話し合いに応じる」という観点も重要です。
当たり前のことですが、問題が生じた場合、それがどのような問題でも、原則として話し合いによる解決が最も望ましい形式です。これは相続にも同様にいえることです。遺言書がなく遺産分割協議が必要な場合には、ご自身の利益だけでなく、その後の世代へ問題を残さないためにも、なるべく話し合いに協力するようにするのが良いでしょう。

まとめ

これまで争続(争族)について説明してきました。人は自然現象として、必ず死亡する以上、相続のタイミングはいつか訪れます。争続(争族)を避けるためには、相続に関して一人ひとりが関心を持つことが重要です。このことは、財産の多い少ないに関係ないことだと考えられます。争続(争族)を避けるためには、まず最低限遺言書の作成をお勧めします。ご自身のためにも、また、後の世代のためにもご自身の相続と向き合い、争続(争族)とならないように心がけたいものです。

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