内縁の妻は相続できない? 知っておおきたい遺産を受け取る方法

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夫婦?_夫婦同然だけど実は内縁というのは珍しくない

夫婦同然で暮らしていた2人が実は内縁関係というのは決して珍しいことではありません。
夫婦同然であるので、もう何年も一緒に生活をし、地域の行事、地域の町内会の仕事も一緒に行うという場合もあります。
こうした2人が、婚姻届を出さないのはさまざまな理由があっての事です。
しかし、内縁関係の男女のうち、一方が死亡した場合に問題が生じます。夫婦だけど内縁。内縁なので一緒のお墓にはいれない。以降、内縁関係の相続にまつわることについて説明していきます。

内縁の妻とは何か_そもそも「内縁」の意味について

内縁の妻とは婚姻届を出していない配偶者です。
配偶者という言葉は、法律的な意味と一般的な意味で用いられます。法律的な意味で用いると、基本的には法律上の婚姻関係にある場合のそれぞれから他方をみた場合、「配偶者」と呼びます。一般的な意味ですと、婚姻関係について事実上の側面を重視し、事実上の婚姻関係を認めてそれぞれから他方をみた場合「配偶者」と呼びます。
このように、内縁の妻は「事実上の妻」ではありますが、「法律上の妻」ではありません。
「婚姻」の考え方には事実婚主義と法律婚主義があります。日本では、「婚姻は、戸籍方の定めるところにより届け出ることによって、成立する」(民法739条1項)と定められており、法律婚主義を採用しています。
簡単にいうと、内縁関係と婚姻関係との違いとはなにかと説明すると、「法律上の保護が及ぶか否か」です。つまり、日本における原則的な考え方では、配偶者としての地位における保護は、法律上の婚姻関係にないと及ばないということになります。
少し難しい説明でしたので、以降の説明をご覧ください。

内縁の妻は相続できない?_相続によって何ももらえないのか

既に説明をしてきたように、内縁の妻は法律上の妻ではないので、内縁の夫を相続することはできません。民法では被相続人の配偶者は、常に相続人となると規定されています(民法890条)。しかし、これは法律上の配偶者を指し、事実上の配偶者を指してはいません。
しかし、相続によって何もらえる余地はないのかというとそうではありません。
1つは遺言による遺贈があります。もう1つは特別縁故者に対する相続財産の分与というものがあります。
遺贈とは遺言によっておこなう贈与で、法律上相手のいる単独行為です。単独行為とは、もらう側の同意なく、かってに「あげる」といえるということです。
特別縁故者に対する相続財産の分与とは、被相続人に相続人が1人もいない場合、被相続人と生計を同一にしていた者や、その療養看護に努めた者につき、その者からの家庭裁判所への審判の申立てにより認められる財産の分与をいいます。
簡単にいうと、内縁の妻の場合であっても、他に相続人がいない場合、被相続人の財産の分与を受けられる余地があるということです。

コラム)日本の法律婚主義の歴史的背景_律令国家体制

ここで、日本が法律婚主義を取る歴史的背景について簡単に触れます。その目的は、事実婚主義と法律婚主義を歴史という大きな文脈のなかでご理解くことを目的とします。
日本の戸籍制度は、諸説ありますが、古くは大宝律令から始まる律令による国家の支配によって国家の支配を安定化させようという試みから生まれました。古くは「へのふみた」と呼ばれ「籍」と表記するのみで戸籍を現しました。また、この戸籍制度は徴税制度と結びつき、人頭税の徴収などに用いられました。さらに、兵役などの必要が生じた場合など、国家がその人民を管理するために備え付けられたのが戸籍制度の姿です。律令国家体制は7世紀後半から9世紀ごろまで続きました。
このように、国家が法律婚主義を用いるのは、さまざまな行政上の強制力やサービスを行使するために必要だったという背景があります。
(参考:『詳細 日本史研究』山川出版 第三版、『日本史小辞典』山川出版)

事実上の相続権が認められる2つの方法

相続権とは、正確には相続人が被相続人から引き継ぐことのできる地位、権限を指します。
従って、ネット上で見られる「内縁でも認められる相続権」という記載の、「相続権」という表現は、ある種の造語であって、内縁の妻に根本的(法律上)な相続権は認められません。

遺言書の記載_「遺贈」の活用

内縁の妻が保護される手段として、最も一般的なのが遺言書に遺贈に関する記述を記載してもらうというということです。相続することができるのは、法定された相続人の地位を有するものに限定されます。しかし、遺贈をうけるのに必要な地位や資格は原則として存在しません。単に自然人として、権利義務の主体であれば、遺贈をうけることができます。
遺贈とは、「財産を贈与する」という意思を遺言書に記載し、その者が死亡すると同時に効力を発生するものです。この制度を利用すれば、内縁の妻も被相続人から財産をもらうことができます。
しかし、注意点があります。1つは、遺言書をどのように作成するかは、故人(被相続人)の自由であって、いくらでも内容を書き換えることができます。もう1つは、内縁の夫の相続人(推定相続人)が、兄弟姉妹以外の者である場合、遺留分というものを考慮する必要があります。遺留分とは各相続人の有する、潜在的な相続財産に対する割合や、期待権の保護、及び遺族の生活の保障の意味があります。最後に税金の問題です。遺贈を受ける場合には、相続税が課税されます。また「相続税額の2割加算」と呼ばれ、通常よりもおおく税金を負担する必要があります(相続税法18条参照)。

特別縁故者に対する相続財産分与

特別縁故者に対する相続財産分与については、まず前提に相続人が1人もいないことが前提となります。「1人もいない」とは、相続人の全員が相続放棄をして結果的に相続人がいなくなった場合も含まれます。特別縁故者に対する相続財産分与について、一説には年間1000件程度の申立てがあるという見解があります。
また、相続人が1人も存在しない場合であっても、特別縁故者に対する相続財産分与が認められるか否かは、家庭裁判所の裁量によります。従って、特別縁故者であるとして内縁の妻が審判の申立てを行ったとしても、相続財産分与が認められるとは限りません。また、仮に認められるとしても、内縁の妻が望むとおりになるかについても、家庭裁判所次第となります。過剰な期待は禁物でしょう。

愛人の場合_愛人と内縁の妻の違いとは?

愛人と内縁の妻との境界線は曖昧です。そもそも、双方ともに事実上の状態を第三者が見た場合どのようにとらえるかに判断の基準があります。だからこそ、婚姻関係が不安定にならないように、婚姻届を提出し、法律上の婚姻関係を成立させるという実益があります。

愛人とは_愛人の場合何かもらえるものはないか

愛人であっても、遺言書の記載により遺贈を受け取ることはできます。
しかし、遺言の執行は、遺言執行者がいない場合、つまり基本的には遺言で遺言執行者についての記載がない場合、困ることが多いです。
例えば、相続において相続登記の場合、たとえどんなに仲の悪い親族がいたとしても、遺言書があれば、この者たちの関与は不要なので問題は生じません。ところが、「遺贈」という原因を用いて登記する場合には、登記申請の原則どおり共同申請となります(共同申請主義:不動産登記法60条)。従いまして、愛人は相続人側に強力を要請する必要が出てくるということです。もっとも、こうした場合、愛人は自己の権利を保全するために仮処分の申立ては可能です(判例:最高裁判所 昭和30年5月10日判決 民集9-6-p657参照)。また、利害関係人とした、家庭裁判所に遺言執行者の選任を請求することも可能です。
しかし、内縁の妻の項(上記3)で説明したのと同様に、遺留分減殺請求権を行使される危険はあります。
なお、愛人であっても、死亡した被相続人の療養看護に努めた事実関係、及び生計を共にしていた等の事実関係が認められれば、特別縁故者としての財産分与を受けられる可能性があります。

愛人と内縁の妻との違い

愛人と内縁の妻との大きな差異はありません。いずれも、世間的な認識の問題であって、法律上にその定義があるわけではありません。違いをのべるならば、愛人を定義するならば、愛人とは恋愛関係に近く恋人に近い認識でしょう。内縁の妻に関して定義すると、恋愛関係というよりも、当人同士の認識として、夫婦の実体を有し、夫婦との共通認識があって客観的に第三者もこれを認識できる状態と考えてよいでしょう。
いずれも法定されていない以上、その境界は曖昧となります。また、それぞれの状態については、認識によって変化するので、愛人と内縁の妻とはある程度流動的な関係性があります。

まとめ

内縁の妻や愛人であったとしても、故人(被相続人)から財産をもらうことはできます。方法としては、遺言書に遺贈の規定を記載してもらうのが一般的です。他の方法としては、特別縁故者の財産分与があります。しかし、それぞれの制度には注意点があり、遺贈の場合は遺留分との関係や相続税を無視することはできません。特別縁故者の財産分与の場合には、認められるか否かは家庭裁判所の判断によります。
いずれの場合においても、最後に「墓」の問題が残ります。「墓」について、法律上の決まりごとはありませんが、慣習上や宗教上のルールはあります。原則として、日本の現代の墓は「家ごと」に管理されています。愛人や内縁の妻が、内縁の夫の墓に入るということは事実上困難な場合が少なくありません。その理由は、墓の問題はとくに感情的、心理的な問題を含んでいるからです。

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